【ひとことあらすじ】
真木博士の終末願望は厨二病ではなくもっと深刻なトラウマに根ざしたガチもんでした。
なのにそこから産まれたパンダちゃんは可愛らしくもふもふでしたが、得意のパンダ拳も
一歩及ばず爆死してしまいましたとさポコペン。
【感想】
バカ回の直後と油断してたら一気に話を進めてきたなー。すげえ充実感だった。
鬼畜小説愛好家として、今週の白眉はやはりドクター真木。
単なる中二病と思われた終末願望、人形としか話さない謎設定、姉に似た沙世子さんへの
過剰な反応、の全てに明確な理由があったのに驚いた。非常に上質な恐怖描写だったと
思います。何というか、京極夏彦の作品世界に近い「厭さ」がすごく出てたと思う。
ちびっ子の置いてけぼり感は尋常じゃないけどな!
具体的な描写は控えられてたけど、明らかにドクター真木は姉から定常的に虐待を受けて
いたと考えて間違いない。それも、「人は死んで完成する」とか不吉な言葉を囁き続けたり
することで、恐怖によりドクターを支配下に置こうとするタイプの、精神的な虐待。
それは結婚時に「貴方は天才なんだから」と嘲笑しながら気味の悪い人形を渡す行為からも
見て取れて、自分がドクターを離れても、なおドクターを自分に縛り続けようという意図
から来るものだと思う。
これ、300人以上を殺害したと言われる伝説のシリアルキラー、
ヘンリー・リー・ルーカスが
母親から受けた虐待のタイプにちょっと雰囲気が似てるんだよね。
歪んだ愛情と抵抗とのジレンマに苛まれた挙句に虐待者(ヘンリーの場合、実母)を殺害する
点も、その行為によってむしろ永遠に虐待者から支配され続けることになる点も共通してる。
ドクターも結局姉の形見である人形としか会話できなくなった訳だし、「美しいまま滅ぼし
終わらせることが人間の完成」という理屈は、シリアルキラーの自己正当化として、実に
「さもありなん」な話。
今回、ドクターは沙世子さんと向きあうことで忘れていた(おそらく、必死に忘れようとして
いた)記憶を取り戻し、深層心理では支配されつつも表面的には自覚していなかった姉の影響を
明確に意識することになった。
そして、本当は冷酷な虐待者であった姉を思い出したことにより、「美しいうちに滅ぼすのが
人間として幸福である」という自己の終末願望に基づく殺人を正当化するという最悪の方向へ、
自らの運命の舵を切った訳だ。シンケンに続き、小林先生の「業」の掘り下げはすごく俺の
琴線に触れます。
■800年前にシャチって知られてたのかしら
アンク右腕復活のアンサーは「封印に右腕だけが巻き込まれたから」。
腕と言っても所詮はメダルの集合体なんで、なぜ右腕という形状が維持され続けたのかは
よく分からんけど、まぁ封印時の状況が余程イレギュラーだったんだろうと脳内補完。
しかし800年前の「オーズ・ザ・ビギニング」、平安末期~鎌倉初期の日本を舞台とした
謎のメダルを巡るドロドロの陰謀劇が俺の脳内に大展開してたんで、ヨーロッパが舞台
だったのはちょっと残念だったぜ…。メダルを精製したのは肉欲を是とする邪教・真言
立川流の創始者である仁寛だとか、権力を朝廷の手に戻すべくグリードを使役して源平の
争いを裏で煽る後白河法皇とか、悟りを開いた故に欲望と無縁の僧がそれを止めるべく
オーズに変身し孤軍奮闘するとか、頭の悪い中二設定を山ほど考えたのになぁ(´・ω・`)
中世ヨーロッパでの「オーズ・ザ・ビギニング」については、
津田東磨様がプロローグ
的な話を書いてくれました。
あぁ格好いいなぁ。もっと欧州史勉強しとくべきだった。
■シャチパンダヤミーに抱かれたい人、急増中
ツイッターでもブログでも「シャチパンダヤミーたん超可愛い」意見がすげえ多いんですが、
あいつ若い女性を狙っては怪力で全身の骨を圧し折るんであってこんなエグい殺され方は
そうそうないと思うんだけど、これは「あいつ怪力だしのしかかられたら圧死しちゃうんだぜ」
とか遠足先の動物園で吹聴しまくっては女子にドン引きされるクソ男子みたいなもんだと気付き、
自分がいかに根っからモテない人間なのかを自覚して死にたくなりました。
■後藤さんマジ3流ハッカー
社内イントラでモロ「オーズ メダル」とか検索し、鳴り響くアラームが止まらずオタオタし、
それら全てが会長に筒抜けっていう
後藤さんのクソスパイっぷりはもう芸術の域だった。
会長も会長で、徐々にマッドで危険な要素が高まってきたなー。
ハンタのゲンスルーが言ってた「駆け引きはいかに冷静でイカレてるか相手に理解させるのが
コツだ」を地で行き始めてるな。